ニュートン式反射赤道儀 簡易取扱説明書

StarBlast 4.5 EQ

http://telescope365.jimdo.com/

 

これはニュートン式反射赤道儀「スターブラスト4.5 EQ」(米オライオン社,代理店ジズコ)の簡易取扱説明書です.赤道儀のセットの仕方,光軸の合せ方などは他のニュートン式反射赤道儀も基本的に同じです.日本語の説明書が手に入らないときなどに参考にして下さい.

 

赤道儀編 EQ1

鏡筒編      StarBlast 4.5 OTA

観測編

 

スターブラスト4.5 EQは入門機ですが,ニュートン式反射望遠鏡で赤道儀に搭載です.5万円以下の小型で見える使いやすい望遠鏡ということで選んで見ました。初めての望遠鏡には経緯台式の屈折望遠鏡がよいと思われていますが,この選択には理由があります.

この望遠鏡は、広視界の接眼レンズが附属し、視界2.2度の広視野望遠鏡(RFT: Rich Field Telescope)になり、暗い夜空では星団・星雲の観察が楽しめます.また、高倍率側は70倍で月面や有名な二重星の観察ができます。接眼レンズを補充すると惑星表面や二重星の観察もでき、鏡筒も短く軽量で都会でも星が楽しめます。

初心者には赤道儀は向かないと考えられがちですが,慣れると難しいものではありません.1度星を視界に入れると赤経1軸だけを動かすことによって星を追い続けられます.水平と垂直の両軸を動かさなければならない経緯台は高倍率ではとくに大変です.さらに,明るい星を基準に,赤経・赤緯目盛を使って暗い天体を視界の中に導入できます.EQ1は小型で単純な赤道儀で初心者にも扱いやすくなっています.

また、鏡筒は放物面鏡を使っているので,天体趣味人の第2望遠鏡や天体写真儀としても使えます. 

保管と手入れ

 

手入れをして丁寧に扱うと望遠鏡は一生使えます.斜鏡・主鏡の洗い方はスターブラスト鏡筒のものです.他の鏡筒は専用の説明書を必ず読んで下さい.保管の仕方は他の望遠鏡と共通です.他のマニュアル等を参考にして下さい.

 

接眼レンズ

カメラ用の手入れ道具を使う.薬液を使う前に必ずブローワーなどで埃を除くこと.専用のティシューに薬液をつけ円を描くように拭く.自分では決して分解しないこと.

 

斜鏡

SiO2 被膜を施してあるので,斜鏡の手入れは数年に1回でよい.まず,斜鏡を鏡筒から取り外す.支持具を手で支え,中央のプラスネジを外す.支持具とネジの間にはスプリングがあるので落とさないように注意する.斜鏡の表面に触れないように支持具を持つ.支持具ごと斜鏡を取り外したら,あとは主鏡と同様に洗う.

 

主鏡

主鏡の手入れは2年に1回かそれ以下でよい.まず,主鏡セルを鏡筒から外す.3本のプラスネジを外す(Fig.15).次に主鏡セルを鏡筒から外す.主鏡は主鏡セルに3つの爪で固定されている.爪に付いている2本のネジを外して,主鏡を取り出す.鏡の表面に触らないように縁を持って柔らかいタオルの上に置く.食器洗いの容器に室温の水を張り,食器洗い洗剤を数滴垂らす.(もし可能なら100%イソプロピルアルコールをキャップ一杯を加える)アルミ蒸着された面を上にして鏡を浸け数分放置する(汚れがひどい場合は数時間).きれいな綿ボールを使って水中で,鏡の表面を非常に軽く,一方向に直線を引くように撫でる.この動作1回に付き1つの綿ボールを使用する.次に,微温湯を流してすすぐ.鏡を45度に立て掛け,その表面に瓶一杯分の蒸留水を流す.鏡をブローワーバルブを使って乾かす.もし表面に水滴が残って場合は,ペーパータオルの角で吸い取る.鏡に表面をティッシュペーパーで覆い,暖かい場所で十分に乾かす.

アルコールを使う場合は,先に容器にアルコールを付けて変化がないか確かめること.

 

鏡筒

鏡筒についた汚れは柔らかい布や住宅洗剤で拭き取る.疵などがついたら自動車のタッチアップペイントを塗るとよい.

 

観測準備

 

星を見るのに必要な基本的なものは揃っていますので,組み立てるだけですぐに使用できます.

付属の15mm接眼レンズで,30倍,視界2.2度の広視野望遠鏡(RFT: Rich Field Telescope)になります.暗い夜空では星団・星雲の観察が楽しめます.

高倍率側は6mm接眼レンズで,75倍と控えめになっています.小さな星雲の観察に使います.二重星や惑星表面を見るのには高倍率用の接眼レンズを補充した方がよいのですが,F値(焦点距離÷口径,1/口径比)が小さいのでケルナーなど安価な接眼レンズは避けましょう.収差を低減する働きもあるバローレンズがよいかと思います.2倍バローで150倍になり,木星の縞も見やすくなります.

 

すぐに追加購入したいもの (メーカーは例,価格は参考価格)

ムーングラス       10cmを超える口径なので,月を見ると眩しすぎます.

接眼レンズの先端にねじ込む.31.7mm径であればどの

メーカーでも共通.3,000円くらい.

いずれ追加購入したいもの

方位磁石・水準器               

北極星の見えない場所で赤道儀の極軸を合わせるのに使います.

オリエンテーリングコンパス(ビクセン1,700円).

水準器はごく簡単なものでよい.

2 mm六角レンチ 斜鏡の光軸合せ用(あまり使う必要はないはず).

バローレンズ       接眼部と接眼レンズの間に入れて使う.

レンズ2枚のショートバローより,きちんとしたバローが良い(万円〜).

UHCフィルター  惑星状星雲など発光星雲に効果.光害減少効果も.

8千〜1.7万円.

 

近くに望遠鏡を取り扱っている店がないときは,ビクセン・ケンコー・ボーグの製品は大きなカメラ店で取寄せて貰えます.そのとき,ビクセンの季刊の情報誌「SO-TEN-KEN」(無料)も頼みましょう.

 

ショートバローはとくに合焦の位置が変わります.F値が小さいニュートン式なので接眼部の可動距離が短いので注意しましょう.予算の少ないときは,ケンコーの2xアクロマティックバロー(2,350円)は使用可能です.高倍率は合焦が厳しくなります.星を中心に入れて焦点を合わせて下さい.

 

付属の接眼レンズExpanse 15mm4.5cm広視野携帯望遠鏡に使うとPocket-RFTとしての性能が飛躍的に向上する.また,スポットファインダーは夜空の明るいところでは使いにくい.4.5cm広視野携帯望遠鏡は鏡筒リングに付属の1/4インチカメラネジを使うとこの望遠鏡に簡単に搭載でき,大型ファインダーになる.また,市販の大型ファインダーを取りつけるにはファインダー取付ナットを外しそこに台座を付ける.

 

光軸の確認

昼間のうちに光軸の確認をしましょう.斜鏡の調整では,手順1)~5)の後の方だけで済むときも必要な手続きが前の方にもあるので,説明の最初から読むこと.調整の済んだあと,全てのネジを少しずつ順繰りに締めること.

 

使用雑感,独断と偏見 (随時更新)

F値が4とツチノコ並に小さいが,高倍率も予想外によく見える.ニュートン式は,光学系が単純で放物面鏡の主な収差はコマ収差と考えられる.色収差がないことと,付属の接眼レンズが良くコマ収差が抑えられているからかも知れない.地方での星空の活用を考え,広い視界を持つ星団・星雲用の望遠鏡として購入したが,バローレンズの使用で高倍率も可能な汎用機になった.二重星や木星表面も観察できるので都会でも気軽に星が楽しめる.

 鏡筒に問題があるとすれば接眼部で,150倍にすると焦点が浅くなるのでもうすこしスムーズなものが欲しくなる.それもこの価格では仕方ないだろう.これを意識してか,ラック&ピニオンにグリースがいっぱい付けてあった.ベタツクのも嫌なので余分な部分を楊枝で取った.

 

 

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