星団・星雲を見に行こう

 

“Deep Sky Object” とは星団や星雲を指します.星図とコンパスを頼りに星団や星雲を目指します.もちろん,途中で月や惑星にも寄りますし,二重星を見たり,彗星に遭遇することもあります.自動導入やモータードライブはありません.なぜなら「その方が面白いに決まっている」から.

多くの天体は写真やテレビの方が大きく迫力があり色もよく見えます.しかし,実際に見る天体には,本物の美しさがあります.

 

☆イスカンダルへの旅☆

4.5cm Pocket-RFT をバッグに入れて,寒い日本を離れ南の島へ.

大マゼラン星雲は視野に入りきれない.

 

星の動き(日周運動)を追うようにしたのが赤道儀です.始めは楽をする使い方-天体を導入したあと赤経微動だけを使って追尾する-で望遠鏡に慣れましょう.それには緯度目盛を合わせ,極軸をだいたい北の方に向けることで十分です.慣れてきたら次の段階へ.

 

☆銀河の航海士への道☆

☆赤道儀を使った,明るい星を基準星とした暗い天体の導入★

まず,明るい天体で練習しましょう.目的の星がどの辺りに見えるかは星座早見盤を使うと分かるので,計画を立て,昼間,室内でよいですが,赤道儀をセットしその方向に望遠鏡を向けます.赤経・赤緯とも微動を動かして,当たるところがないかも確かめます.理想的には接眼部がどこにあるか判らないような暗闇で,小さな赤いライトだけで全てを行います.野外で使う小さめのノート(無地のものだとスケッチができる)を用意し,大きめの字で天体の座標などを書いておきます.

月のない夜に,北極星や方位磁石を使って赤道儀をセットする.低倍率の接眼レンズを使用する.

 

冬の巻

基準星                  ベテルギュース           赤経 5h56m,赤緯 7º 24, オリオン座a赤い星

目標天体1 M42 オリオン大星雲  赤経 5h35m,赤緯 -5º 27′,散光星雲(3等,視直径66×60

目標天体2 M35ふたご座                            赤経 6h09m,赤緯 24º 20′,散開星団(5等,視直径28

ベテルギュースを視野の中央に入れる.

赤緯 7º 24’ を確認し,赤経5h56mになるように赤経目盛を合せる.

(もし赤緯 7º 24になっていなくても,差を見ればよい.また赤道儀によっては赤緯目盛を調整できるものもある.さらに観測中に赤経目盛赤緯目盛を固定するかどうかは赤道儀による.取扱説明書を参照すること)

赤経 5h35m,赤緯 -5º 27′ になるように微動を使って望遠鏡を西南西に移動する.

(赤経を21m西(5 º西)に,赤緯を約13º南に動かす)

オリオン大星雲は大きいので視野に入っているでしょう.1度視野に入ると赤経微動だけ動かして追尾できます(ここでどちらに回すと追尾できるか覚えておく).中央のトラぺジウム(オリオン座q星,四重星)も観察しましょう.オリオン大星雲を翼を広げた鳥に見立てたとき,頭にあたるところはM43です。

空の暗いところでは,望遠鏡を少し北に向けると幾つかの星を覆うように淡い大きな散光星雲(NGC1977, 9.6, 40)が視野に入ってきます.

さて,望遠鏡を赤経 5h56m,赤緯 7º 24 に戻します.ベテルギュースが視野に入っているでしょうか?たぶん入っていないでしょう.そこで,接眼レンズを覗きながら,赤経微動を星を追尾する方向に廻して行くと赤い明るい星が見えてきます.視野の中央に入れて,赤経目盛と赤緯目盛を確認しましょう.赤緯目盛はほぼ始めと同じですが,赤経目盛が動いている筈です.ベテルギュースが日周運動で動いたからです.赤経5h56mになるように赤経目盛を合せ直して下さい.

 

次に目標天体2 M35です

赤経 6h09m,赤緯 24º 20′になるように微動を使って望遠鏡を北北東に移動する.

(赤経を13m東(約)に,赤緯を17º北に動かす.)

いくつか星が集まっているのがM35です.近くをよく見るとぼーっと丸い天体NGC2151が見えます.これも散開星団です.15cmなら微星に分解します.

 

次に

基準星                リゲル                            赤経 5h15m,赤緯 -8º 11′, オリオン座b青白い星

目標天体 M79うさぎ座   赤経 5h25m,赤緯 -24º33′,球状星団(8等,視直径8.7

リゲルを視野の中央にいれ,赤緯目盛を確認し,赤経目盛を5h15mに合わせる.微動を使って望遠鏡を南に,赤経 5h25m,赤緯 -24º33′になるように移動する.

M79は小さなファインダーでは見えません.口径10cmで周辺部の星が分解して見えます.

 

散光星雲・散開星団・球状星団,それぞれ見え方が違った筈です.

実は,オリオン大星雲はリゲルから辿った方がずっと楽です.北極星が見えないところではリゲルを基準星にして練習しましょう.もちろん,オリオン大星雲は明るいので直接入れた方が早いです.

 

☆春巻☆

基準星    スピカ   赤経 13h25m,赤緯 -11º 10,乙女座a 純白の星

目標天体 ω星団  赤経 13h27m,赤緯 -47º 30,ケンタウルス座 球状星団(3.7等,視直径36

目標天体2 NGC5128        赤経 13h26m,赤緯 -43º 01,ケンタウルス座 特異銀河(7等,視直径18×14

最も美しい恒星と全天一の球状星団.

スピカを視野の中央に入れる.南に36º 20 下る.離れているので,極軸が正しく向けられていないと望遠鏡の視野には入れにくい.しかし,ファインダーでは見える筈.小望遠鏡でも倍率を上げると微光星に分かれてくる.高度が低いので空気の澄んだ夜を選ぶ.

ω星団の4.5度北にあるNGC5128は.ω星団を基準星にして視野に導けます.

春に南方に行くと,南十字,イータカリーナ星雲等々を含む南天の天の川の最も美しいところが頭上に.お土産は止めにして,Pocket-RFTに広視界接眼レンズを調達しましょう.但し,接眼部に負担の少ない軽いものを(Expanse15mm推奨).

 

 

つづく