星の色

肉眼で見ると星に色があるのはせいぜい2等星までです.しかし,双眼鏡や望遠鏡をつかって眺めると,多くの星に色があるのが分かります.眼の細胞には3つの色素で色に感じる錐体細胞と,白黒にしか感じない桿体細胞があります.桿体細胞は暗い光に反応しますが,錐体細胞は明るい光にしか反応しないためです.

さて,錐体細胞で感じるスピカの白は,桿体細胞で感じる暗い星の白と同じでしょうか?

 

「色のない世界を見ようと思ったら,早起きをしなくては駄目」  

アヌイ『アンチゴーヌ』

 

 

◆暗黒物質は黒くない◇

埴毛紙は今まで黒だと思っていたのは何だったのだと思うほど黒い.

宇宙には普通の物質の5倍以上の見えない物質があります。星座早見盤や星図で、天の川を辿ると、丸く環になっているのが分かります。銀河は中心付近がすこし膨らんだ円盤です。その円盤のなか、中心から半径の半分ほど来たところから銀河を見ると天の川になります。外側を向いて眺めると冬の夜空。中心は反対の夏の夜空、いて座の辺りになります。太陽系は銀河の自転に乗って、白鳥座(Cygnus)の方向に、新幹線が1時間かかる距離を1秒で行ってしまう速度(220km/)で動いています。暗黒物質は、銀河系全体をすっぽりと覆うように丸く分布しています。神岡の鉱山跡の地下深くでは、白鳥座の方向から飛び込んでくる暗黒物質を捕まえようという人たちが放射線検出器を構えています。この速度はとっても遅いので、検出するのが大変です。

では、銀河の回転軸の方向、銀河北極はどこでしょう?おとめ座の北、かみのけ座あたりになります。この辺りは銀河の薄い円盤から垂直方向ですので、星や星間ガスがまばらなで、宇宙の果てまで見渡せます。望遠鏡で見ると多くの銀河が犇いています(乙女座銀河団)。メシエ天体だけでもざっと数えて1ダース。周防九曜がやって来たという「天蓋領域」というのはこの辺りかも。

 

地方にはまだ「肉眼で天の川が見えます」などというレベルではない星空が残っています。キャンプには望遠鏡をお忘れなく。

 

 

 

 

 

雨夜の品定め

惑星の王者木星は表面の縞や大赤斑の他に、衛星が表面を通過したり影に隠れたり、色々なショーを見せてくれます。今年は衛星同士の食もある。

木星のガリレオ衛星は動きが速い。木星に対する衛星の位置をスケッチして、しばらく他の天体を観察したあと、木星に戻ってスケッチと比べると位置が変わっている。とくに木星の近くにいるとき、眺めていると動いているのがわかる。1番内側のイオの軌道長半径は42kmで、月の軌道長半径38kmと同じくらい。質量も同程度である。しかし、公転周期は月が27.3日に対し1.77日しかない。これは木星の質量が地球の318倍もあるから。ちなみに半径は地球の11倍。

ということが天文年鑑を眺めていると出ている。